みあせぶ

わたしは、ダニエル・ブレイクのみあせぶのレビュー・感想・評価

4.3
I, Daniel Blake


家族のアットホームな話かと思いきや、かなり深刻な社会問題を扱った作品でした。パルム・ドールも納得です。

医者から働くことを止められ、収入を得るために国からの援助に頼ろうとするが、支援金を獲得するまでには就職しようという努力をしなければならない。そんな制度という型に当てはめられたダニエルの様子が本当に見ていて苦しい。働けないのに就活をするなんて矛盾にも程がある。貧困者を救うための制度が、逆に貧困者を困らせている。ダニエルの場合は制度の例外に当たると思いますが、社会では例外は問題視され、排除の対象となっている。ほんとうに無力感しかない。

そして行政のデジタル化にも苦しめられるダニエル。記入書類はネットで完結させられ、パソコンができないとこれまた排除されてしまう世界。周りの人たちは快く手を貸してくれるけど、その書類のおかげで国が手を差し伸べてくれる保証はない。申請が通るかどうかはもちろんのこと、申請に至るまでに一苦労な制度は如何なものか。

クライマックスはある種の憤りを感じる展開でした。ネタバレはできませんが、この貧困問題をどうにかしなければならないという強いメッセージが伺えます。衝撃でした。

決して明るい作品ではないので重たい映画ですが、世界中の人々が嫌でも考えなきゃいけない問題だと思います。心のうちに留めておかなければいけない映画だと私は感じました。
みあせぶ

みあせぶ