品川巻

わたしは、ダニエル・ブレイクの品川巻のレビュー・感想・評価

4.3
葬式用の喪服代わりにヨレヨレの黒い私服しか用意できない貧困の実態。
社会的弱者の救済がおざなりにされ、貧すれば鈍する人たちも少なくない中で、「税金を支払ってきた自分には、支払った税金に見合った給付を受ける権利がある」と主張して、自分も余裕がない中で血縁関係のない親子にも手を差し伸べるダニエルの意志の強さと見返りを求めない心はかっこいい。
経済面や忙しさを言い訳に人助けを悪気なく敬遠してきた人間たちに対する、非暴力的なあたたかい圧力すら感じる。

見捨てることと見て見ぬ振りをすることは、前者の方が悪いように見えて本当は同じくらい無慈悲なのかもしれない。「ゆりかごから墓場まで」と言われていた福祉国家の行末は。。
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