暗いスクリーン、役所の女性職員と手当を求める男の、どこにも辿り着かないやりとりが、映画館に響く。
通常の脚本のセオリーだと、'映画は言葉ではなく、映像で見せろ'だが、セオリーを破るオープニングで、この映画の底流に流れるものが暗示されていた。
この作品はイギリスの(底辺の)話だけれど、先進国と20世紀に呼ばれていた所では、似たり寄ったりの状況だろう。
職につけるものと、溢れるものと。
人間としての矜持、でも、面子だけでは食べていけない、成り行かない現実。
福祉の狭間に堕ちる個々人に、この世はひどく厳しい。
そして、この作品を映画館で観ている者は、私も含めて今日明日食べるのに困ってはいないはず。
ズシリときた。