Nori

わたしは、ダニエル・ブレイクのNoriのレビュー・感想・評価

4.0
暗いスクリーン、役所の女性職員と手当を求める男の、どこにも辿り着かないやりとりが、映画館に響く。

通常の脚本のセオリーだと、'映画は言葉ではなく、映像で見せろ'だが、セオリーを破るオープニングで、この映画の底流に流れるものが暗示されていた。

この作品はイギリスの(底辺の)話だけれど、先進国と20世紀に呼ばれていた所では、似たり寄ったりの状況だろう。
職につけるものと、溢れるものと。

人間としての矜持、でも、面子だけでは食べていけない、成り行かない現実。

福祉の狭間に堕ちる個々人に、この世はひどく厳しい。

そして、この作品を映画館で観ている者は、私も含めて今日明日食べるのに困ってはいないはず。

ズシリときた。
Nori

Nori