富士山

お嬢さんの富士山のレビュー・感想・評価

お嬢さん(2016年製作の映画)
5.0
再掲。韓国映画の底力をこれでもかというほど見せつけられる作品です。こんなきわどい作品で、密度の高い画面をほとんど切れ目なく積み重ねて一本の映画を作れるのは、今の日本では考えられないことだと思います。多少説得力のない部分もありますが、ストーリーも絶妙な伏線と構成でしっかりミステリーをしています。しかも適度に混ぜられたユーモアと主人公の前向きなキャラクターが、この作品が絶望と破滅に向かうのではなく、あくまでも希望と可能性を背景にしているのだと感じさせて、ラストの痛快さを自然に導いていました。この点、レズビアン映画としても重要だと思います。退屈なドンパチとスローモーションで押しつけがましく涙を要求するだけの大作映画ではなく、このような地味だけど丁寧な作品こそ韓国映画の本当の魅力です。
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