肉袋

お嬢さんの肉袋のネタバレレビュー・内容・結末

お嬢さん(2016年製作の映画)
4.9

このレビューはネタバレを含みます

画面の作りも美しくミステリとしてのストーリー展開も面白い、そしてそれ以上に男性支配からの解放を描いた爽やかすぎるシスターフッド映画!単なるエロレズビアン映画ではない。カタコトの「秀でた美しさ」といいなぜか妙に下手すぎるお嬢様の絵の実力といいちょっとしたところで笑わせてくるのもポイント。

朝鮮を野蛮な暴力で支配する当時の日本は家父長の象徴。その中でも貴族(特権階級)に憧れ成り代わろうとする上月もまた家父長という名の醜悪な支配の象徴である。
藤原伯爵のキャラクター造形には妙があり、貧民(非支配者層)の生まれでありながら、支配者へのリベンジという強烈なモチベーションをもって戦ってきた人物である。一方でさらに下位の被害者である珠子や秀子に対して有害な男らしさを振りかざす。
珠子と秀子の女性2人が手を取り支配者を打ち倒すというストーリー…と思うところだが、ラストシーンでは非支配者だった男性が支配者の男性を打ち倒しているとも描写とも思え、アレを守れて死ねて良かったというセリフも一見コミカルに挿入されたセリフだが、明らかな男性の象徴を残して死なせたことには意味があるだろう。この藤原伯爵のキャラクターが物語に外連味を与え、シスターフッドによって権力から解放されるというシンプルな筋書きからさらにもう一段階ハイレベルとなった描き方がなされている。
全編で複雑な伏線、モチーフを張り巡らせながら展開していく極上のミステリーは何度見ても飽きない…これほど何度も見返し、その度にパワーをもらっているシスターフッド映画はありません。
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