浅野公喜

窓の浅野公喜のレビュー・感想・評価

(1949年製作の映画)
4.0
ある少年がアパートの上の階に住む夫婦が行った殺人を目撃してしまうコーネル・ウールリッチ原作で数多くのディズニー映画にも出演したボビー・ドリスコール主演のフィルムノワール。少し前に観た傑作「ビデオゲームを探せ!」と原作は同じみたいで、やはりこれも傑作でした。

ボビー演じる主人公は頻繁に嘘をつく所謂オオカミ少年。それ故実際に殺人を目撃しても親にも警察にも信じてもらえず、母親にはちゃんと謝りなさいと犯人の夫婦のもとに行かせられ結果目撃したことがバレ、父親は外出禁止と窓に釘を打ち付けられ逃げられなくなってしまうという親の子供にとって「良かれ思った行動」が少年を追い込んでしまうのが皮肉。

夫婦にあえなく捕まってしまう終盤も、気絶した少年をアパートの柵に乗せそのまま転落死させようとしたり警官と共に捜索に出た父親とはすれ違いが生じたりとスリルに満ちており、アパートの損壊エリアでの追跡劇での階段が豪快に崩壊(崩壊する階段を真下から撮ったアングルが「レベッカ」の火事で崩壊する天井とアングル同じ)や最後の「転落」と「落下」も後者に関してはその行動の強い動機が欲しかった所ですが迫力満点で、「その女を殺せ」同様1時間ちょっとで観れる傑作ノワールでした。

凄まじい勢いでドアを開けたことでドアの近くの人が挟まれるというギャグ漫画的要素も面白いかも。ボビー・ドリスコールはその後子役にありがちな転落人生を歩み31歳の若さで亡くなっているのが悲しい所。
浅野公喜

浅野公喜