FREDDY

セールスマンのFREDDYのネタバレレビュー・内容・結末

セールスマン(2016年製作の映画)
3.7

このレビューはネタバレを含みます

アスガー・ファルハディ監督が手掛けた心理サスペンス作品である本作は、上演を間近に控えたアーサー・ミラー原作の舞台「セールスマンの死」の稽古に励んでいた、小さな劇団に所属している教師のエマッドと妻のラナの、移り住んだアパートで侵入者に襲われたことをきっかけに一変した生活と、犯人を捕まえたい夫に対し、事件を表沙汰にしたくないと拒む妻のすれ違い始めた夫婦間のズレを描いた内容となっているのだが、率直な意見としては、"犯人捜し"の先にある"思わぬ展開"は人によっては腑に落ちないと思いますし、被害者でありながら頑なに夫に協力しないラナの言動に妙な違和感を抱いてしまうかもしれませんね。そのせいもあり、ラナが何かを隠しているのではないかと勘ぐってしまい、余計な詮索がオチの衝撃を薄めてしまったような印象を受けましたし、とにかく後味が悪いです。ただ、このラナの妙こそが本作の要と言いますか、イラン人女性の人権や地位を反映したものとなっていて、宗教的観点から、性的な被害を受けながら自身も罪に問われてしまうというイラン社会にメスを入れた内容となっているので、エマッドとラナの夫婦間のズレから生じた違和感から"イラン社会"を汲み取ることで、本作の本質が見えてくるのでは。これをふまえて視聴すれば印象も変わるのでは。個人的には好きな作品ですね。面白かったです。
FREDDY

FREDDY