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ブンミおじさんの森のogiharaのレビュー・感想・評価

ブンミおじさんの森(2010年製作の映画)
4.0
まずアピチャッポン作品に共通するのは構図が素晴らしいこと。絵画的な構図と美しいタイの自然、心地のよい環境音、それらの映像形式だけで優れた映画として成立してしまっている。
内容については、此岸/彼岸、動物/人間、現実/虚構、等の境界を崩すor融かそうとする意図が感じられる。
亡霊や来世が死に臨する家族のもとへ集まり家族はその出来事をわりとふつうに受けとめたり、顔にあざのある古代の王女がナマズとの性交渉により重たく華美な装飾を外してありのままの自分を解放したり、出家してお坊さんになった息子が風呂入ったりセブンに行こうとしたり…などなど。私たちが当然のものと考える様々な境界は劇中世界には存在しない。この作品を包み込む優しい印象の理由はそこにあると思う。
ラストシーンはあまりに唐突で驚いた。物語上ありえた可能性をドッペルゲンガーとしてあえて画面上に写すことの目的はなんだろうか?まだこの作品についての思索は尽きない。
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