タイそのものを見ているような
「タイ映画で史上初のパルム・ドール賞に輝いた」
この文言に興味を引かれ何気ない気持ちで観ることにしたこの作品。
いやいや、甘かった。
凄まじいぶっ飛び具合。
そして、数日頭の中に?マークが残るというおまけつきでした。
まず、監督の名前がすごいね。
今まで、ぼくの中での変てこな名前歴代1位は
アレハンドロ・ゴンザレス・イニャリトゥ
だったんですが、それを遥かに上回るパンチ力。
まだまだ知らない世界がいっぱいあるようです。
さて、肝心のストーリー。
正直うまく書けませんよ。
それほどよく分からないんですから。
精霊や幽霊が出てきたり、過去や未来の出来事が不意に現れたり、幽体離脱したり、タイのポップスが急にかかったりと自由すぎます。
あの体験は一体何だったんだろう?
数日頭がグルグルしていました。
でも、ある日ゴダールのウィークエンドを見たときの感覚に近いことに気づきました。
そうか、あの映画はタイそのものなんだって、その瞬間ひらめきました。
そうなんです。
精霊も、幽霊も、過去からの輪廻も、未来の世界も、そして幽体離脱に、修行僧、病気に死に、ポップスに、大衆食堂に、森。
全て、誰かが信仰したり、どこかに存在してたり、誰かがやってたり、そんなものばかり。
この映画にはタイという国に存在するものが全て詰まっている。
だからね、この映画にオカシイって気持ちを抱くことは、僕たちの世界そのものにオカシイと言ってるのと同じってわけです。
日常をモザイク状に配置して一編に見せてみたこの映画。
シャガールの絵を見ているようでもあるなぁ、なんて最近思えてきました。