Sumrain

ブンミおじさんの森のSumrainのネタバレレビュー・内容・結末

ブンミおじさんの森(2010年製作の映画)
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このレビューはネタバレを含みます

森、精霊、生と死、前世、輪廻……すべてが森の中にある。森はこの作品では境界線の向こうにある異界ではなく、渾然一体となって存在している。いつの間にか闇と共に森が近づいてきている食事のシーンからもそれがわかる。森の中では過去と現在は入り組んでいる。映画の中の森に迷いこんでいることに気がつく頃には、我々は監督の魔法にかかってしまっている。
原題も含めて、森が取りざたされるのは日本版だけであるらしい。そのこともまた異界である森が里山として深山側からより近くにやってきている日本の特徴を表しており、彼の映画と日本との奇妙な相性の良さを感じる。
前世とはすべて記憶であり、現世さえも記憶の積み重ねである。とするならば、先人の記憶の積み重ねである映画こそ前世を語るのに相応しい。また映画は記憶を記録して繋げたものでもある。つまりここに現れているのは前世であり、現世である。この作品によってそのことを強く意識するようになった。
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