立ち向かえ!愛しき負け犬たちよ。
水溜りに浮かべたボートを黄色いレインコートの子供が追いかけるオープニングに惹き付けられた。27年ごとに起きる子供の失踪事件、その恐怖を初っ端から植え付けられたが、ルーザーズの登場でホッとひと息。
ホラー版スタンド・バイ・ミーと言われるのも納得で、あの名作を彷彿とさせる。飛び込んだ川で「最悪、足に何かが」と言った時は「ヒル?」と思ってしまった。吃音症の少年、眼鏡君にぽっちゃり君とキャラも立ち、恋愛あり友情ありの青春映画がホラーの中に。イヤーブックにメッセージがなかったり、ギプスに書かれた「LOSER」をLOVERにしたり、いじめられっ子たちが愛しくなる。
ひとりだと無力だが、結束すれば勇敢なる戦士となり、恐怖に立ち向かう姿に胸が熱くなる。とにかく敵が多い。不気味なビジュアルのペニーワイズ、いじめっ子たち、そして過保護や威圧的な親たち。それらは乗り越えなければならない壁として立ちはだかる。大人になるための通過儀礼という事だろうが、親=敵とした結果は後味が悪く、ハッピーエンドとは思えない。
白昼堂々と“それ”が現れる場面は意外性があり、赤く染まるバスルームはインパクトがあって良かった。しかし怖さがあまりない。一番悪いのは副題だね。『それが見えたら、終わり』って、全然終わんないし。ピエロを見てもルーザーズは終わんないから、この副題はいかがなものかと…。
で、クライマックスのラストバトルが残念だった…。結束力が生まれたのは良かったが、なんだろう、急にピエロが生身の人間に見える瞬間があって、子供たちが寄ってたかって大人をボコボコにしているように見えてしまった。