あかつか

サバービコン 仮面を被った街のあかつかのレビュー・感想・評価

4.5
ジャケットの雰囲気から、偉大な名作『シリアスマン』みたいと思ったら、コーエン兄弟が脚本。ジョージ・クルーニーとの相性バツグン。『オー・ブラザー!』『バーン・アフター・リーディング』もサイコーだったし。


新興住宅地サバービコンに黒人一家が引っ越してくるところから物語は始まる。平和な街に突然やってきた異物として、街が一丸となって追い出しにかかる。そんなある日、隣宅のマッド・デイモン一家に強盗が押し入る…。

と、面白いのは黒人一家転入騒動と隣宅のマッド・デイモン一家の強盗騒動がまったく関係ないところ。あっちはあっち、こっちはこっち。サバービコンにおける本当の事件は、黒人一家の転入なのか、その隣宅で密かに繰り広げられる壮絶な殺し合いなのか。このへんのつくりは『サウスパーク』にとてもよく似ている。スタンとカイルが出てきて「今日は大切なことを学んだよ」と、話し出してくれそうな。

ニュータウンの嘘くささは万国共通らしい。平和は、安全そうな街を作っただけでは完成しない。叔父さんとの面倒くさいやりとりや、隣人への野球のお誘い等々の連続で築いていくもの。

ジュリアン・ムーアは米国三大美女のひとりだと思っているけど、こういう作り笑顔がよく似合う。でも「この二人、何かおかしい」というコピーは💩ではないか。このコピーがなかったらもっと早く見てた。

特に爆笑するシーンはない。無駄に笑えるシーンもない。それでも面白くてタメになって見ごたえのあるこういう映画を本当のブラック・ユーモアというのではないか。
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