敬虔なクリスチャンに育ち、人の殺傷を禁じながら強い愛国心から自らの役割を探して太平洋戦争における沖縄戦に参戦したデズモンド・トーマス・ドズ。周囲から蔑まれながらも自らの意思を貫き通して衛生兵として死臭漂う戦地へ赴いた彼が、死をも恐れぬ日本軍の決死の抵抗に苦しむ戦場で負傷兵救出に命を賭す様を描いた戦争映画です。
スキャンダルで謹慎していたメル・ギブソンが良心的兵役拒否者として初の名誉勲章を得た実在の人物を映画化しており『プライベート・ライアン』に勝るとも劣らない戦争描写とそんな生き地獄にあっても己の信念を貫き通す『ブレイブハート』の精神が描かれる物語は圧巻で、戦争の愚かさと、その裏腹の人の強さを強く実感させられます。
仲間が撤退し、死臭が漂って弾丸の雨が降り注ぐ戦場に愕然とし、神に自分がなすべきことを問うデズモンド。しかし神は冷たく求める返答は帰ってきません。しかしその刹那、代わりに彼の耳には仲間の助けを求める生の現実の声が届きます。それを聞いて一目散に仲間のもとへ走り出した姿が、宇宙規模で普遍の輝きを放っている一作です。
