Denkishino

ハクソー・リッジのDenkishinoのレビュー・感想・評価

ハクソー・リッジ(2016年製作の映画)
3.4
前田高地の戦い。ハクソーリッジと聞いて外国での戦争かと思っていましたが、既に戦地は沖縄。現に、学のない私はハクソーリッジって何処だ、と思っていました…。
内容として、戦争の悲惨さに重きを置き、その中での主人公の行いとの両面で見せる事で、より主人公の善良さを強調させているように感じました。至近距離での激しい戦闘シーンは、その泥沼な熾烈さをよく表現しています。前半の温和な具合は、上映時間のほぼ半分。それ故に後半の熾烈さは更に強烈に映ります。対比の相互作用に、かなり揺さぶられた心地でした。終盤の主人公の行動からの、上官や仲間との和解の様子は清々しいものです。しかしながら、内容としては痛々しい戦争の中での主人公の行いを賞賛するに終止し、真似出来ない大変な行為ではもちろんありますが、映画としてのそこ以外の見所のあるものでは無かったように思います。これは実際にその人物がいるので、その現実を映画という虚構は越えられないという事とも感じます。
余談ですが、日本軍が出てくるとやはり普通には観られなくなりますね。御先祖がバタバタ倒れていく様は、作り物と解ってても辛いところがあります…笑 少々日本側の様子に、?となる部分も多少なりともありましたが、これはお約束と言っていいくらいに他の映画でもよくある事で、異文化を描くとき致し方ないところです。なかなかに日本が悪役寄りに描かれていまして、ドイツもロシアもよくやられてる話ですけれども…笑
直接的な戦争描写主体の映画は、何度どんなものを観ても難しいです。過去の話とするにはまだまだ近すぎますから、いや、それが忘れないという事なのかも知れません。戦後は続くよ、どこまでも。これは皮肉な言葉ですが、それで良いのだと思います。
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