さとし

ハクソー・リッジのさとしのレビュー・感想・評価

ハクソー・リッジ(2016年製作の映画)
4.8
争いは善も悪もない、そんな言葉をよく聞く。
その意味を特別感じながら観た映画になった。
舞台はハクソーリッジ、沖縄の前田高地となっている。当然敵は日本。今まで観た戦争映画で日本が外国に立ち向かうものはあっても、日本が敵になるものは初めてだった。
そういったこともあり、鑑賞中の気持ちは複雑だった。日本側から見た敵は強大で畏怖すらあった。でも外国から見ても日本の戦力に対して同じような思いがあり、多くの人も亡くなっていた。戦争に対して、日本は被害者と言うだけではないことを当然だが改めて感じることが出来た。
戦争自体、みんな殺したくてしているものではなく生きるためにしていること。そこに善悪はない、それは当然。だが殺し合いなど表面的な部分しか見ないと本質が見えなくなってしまう。
だが、その見えない部分をこの映画は見せてくれた。

そして、武器を手に取り人を殺すことではなく、敵味方なく、人々を救っていく男の見せる姿に言葉を失った。自分では到底とることの出来ない行動。それは技術や戦力とはまた異なる、人としての行動。
戦わない、それは敵に銃を向けず人を救うという、戦場にいた誰よりも勇気のある行動だと思う。

戦争の意味を改めて考え、また人の勇気を改めて考えることができた。
ほんとに見てよかったと思えるいい映画だった。

映画の出来ではなく、何を考えさせてくれるかという意味で評価したい。
さとし

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