メルギブソン監督、アンドリューガーフィールド主演『ハクソーリッジ』。
あんまり前情報ナシの無助走で観始めてしまったけど、なかなか骨太な作品だった。
アンドリューガーフィールド、良い男になったな。クモ男もそれはそれで良かったけど。
そして、サムワーシントンが何か嫌な上官なのか、良い上官なのか微妙なキャラクターで結構良かった。
太平洋戦争の末期の1945年の5月ぐらい、終戦間近のいわゆる沖縄上陸戦が最後の舞台になる話。
ハクソーリッジ、嘉数高台のことらしい。
沖縄本土の那覇市や首里城のやや北側、なのかな。
となると、結構内陸だということが分かる。
『永遠の0』の宮部の話の少し後、ぐらい、かな。
いよいよ日本の領土沖縄に米軍が上陸してからの話だから、日本側からするといよいよ極みに極まってきた頃の話。
故に出てくる日本兵達の背水の陣感がスゴい。
そんな激しい戦火の中を武器を持たずに駆け回った衛生兵の話。実話。デズモンドドス。
彼は事実、ハクソーリッジで75人の負傷兵を救出したらしい。
あの状況で75人の負傷兵を探し、助け出すって、、、ちょっともう想像もできない。
彼は信仰深く、個人的な親とのわだかまりが残る一件の後、兵役に志願。しかし、その一件もあり、武器を持つことを辞退。
軍には属すが、銃を持って戦地に赴き、人と争うことを拒否。
良心的兵役拒否者、と言うらしいが、それを理由に志願は従事はするものの、周りからの視線や扱いが酷く、からかわれたり、雑用押し付けられたり、いじめにあったり、臆病者だと罵られたり、退役を半ば無理強いされたり。
それでも彼は国のため、死んでいった友のために自分の志を頑として曲げずに、立ち向かう。
その強い意思がハクソーリッジで証明される。
銃を握れと上司に強制されても拒否した彼が命令違反で軍法会議でも、
「真珠湾攻撃に衝撃を受け、自分も国や死んでいった友のことを思い志願した。しかし、私は人を殺すために銃は持たない。代わりに、そこにいる人を助けたい。1人でも多く。そんなヤツがいてもいいだろ」と。
ハクソーリッジで彼が果たした行動、戦果は、確かに相手に脅威を与え駆逐するものではないが、仲間からすればこれほど頼もしいことはない。
線が細く、ひ弱で内気な性分なためにそれまで散々叩かれまくる。
それでもめげずに励んだ結果のハクソーリッジ。
その出来事に仲間ですら驚愕。
ホント驚愕の事実に基づく映画。
上陸戦と言えば、『プライベートライアン』のノルマンディー上陸作戦のシーンの迫力に敵う作品はないと思ってたけど、この映画のハクソーリッジ、嘉数の戦いの模様も負けず劣らずの迫力だった。
というか、『プライベートライアン』を意識している気もしないでもない。
ここまで激しい戦いの中で銃を持たないことがどういうことなのか、がひしひしと緊張感としても伝わってくる映画。