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ライ麦畑の反逆児 ひとりぼっちのサリンジャーのcrnのレビュー・感想・評価

4.0
自身の青年期の純粋な怒りと、PTSDを患った後の失ったものとしての青年期の純真無垢さが、彼の作品の核のように感じられた。人を許せず排除してしまうのは、彼が自分自身を許しておらず、青年期と戦争体験の怒りがもう人格の一部になってしまっているからか。オブセッション作家として村上春樹に通じる印象で、現実の生活とのバランスをどう保つかだけの違いなのかも。

伝記として丁寧に厚みを持って描かれているのに加えて、映画としても展開や場面転換が好ましくて良作だった。ラストの独白はきれいに作品をまとめてくれているけれど、フィクションだろうから、彼が嫌ったであろう読者/鑑賞者への配慮を感じた。
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