crn

国葬のcrnのレビュー・感想・評価

国葬(2019年製作の映画)
3.5
2時間ちょっと葬儀の様子を断片的に眺めるだけで、ソ連やスターリンの知らなかった側面が浮かび上がってきた。

ソ連の国土の広大さにまず圧倒される(オープニングとエンディングは、映画的にとても魅せる演出)。人種や背景の異なる人々を、社会主義から共産主義へ移行するプロジェクトという動的なものに巻き込むかたちで集団凝集性を高めようとしていたことがよく伺えた。その中で、スターリンへの個人崇拝をキーにしてしまったからこそ、彼の死への総動員が実現していた。

粛清の対象になりかねなかった政治/軍の幹部たちの思惑や、どこまで事実を知っていたかわからない市井の人々の感情は、この作品からは分からなかった。公的な物件証拠においては、個人は証言者にはなれないという例なのかもしれない。
crn

crn