このレビューはネタバレを含みます
何度も突っぱねられても、戦争で心がボロボロになりながらも書き続けたサリンジャー。
自身の本来の姿を社会から理解されず歪められ裏切られてしまう彼の苦痛と怒りが、
最終的には諦観に至り「書くことは祈りである」というところに着地したのかなと思うと、なんとも言えない気持ちになる。
でも、自分を作家「J.Dサリンジャー」の道へ示してくれたウィットバーネットとの別れは何か言いたいことがありそうな表情を残しながらも同時に何かから解放されたような清々しさもあり…あれは作家である自分、そしてホールデンとの別れでもあるのかなと思った。
清らかであるためには取り除くしかないのか。
「許す」ということは本当に難しいものだな…と。「許す」ことが先に進む大きな要素となるわけだけどそれが最も難しいことなのだと思いました。