タイカ・ワイティティ監督長編4作目。
2作目『ボーイ』で打ち立てたニュージーランドの公開初週末興収記録を塗り替えた作品だそう。
孤児の不良少年が山奥の夫婦に迎えられ、だんだん心を許していく物語。だが、少年リッキーが心を許すまでがあまりにも早く拍子抜けしてしまう。たいした悪さもしないので夫婦が困り果てるくだりもない。
え、まだ序盤なのにもうやることないじゃんと思っていると、この映画は中盤から大きくジャンルが変わり逃亡バディムービーになっていきます。
ワイティティ監督お得意の、エグみを上手にキャッチーにしてみせるギャグも冴えわたり、なるほどこれは本国で人気になるわけだ。
100分という尺はいいのだけど、やはり描き込み不足が気になる。リッキーがあまり問題のない少年に見えてしまう。なので"おじさん"との心の交流カタルシスが薄味に感じた。『ボーイ』を作った監督、これはちょっと不本意な作品になったのではないか。