一人旅

マイ・ビューティフル・ランドレットの一人旅のレビュー・感想・評価

5.0
スティーヴン・フリアーズ監督作。

『殺し屋たちの挽歌』(84)、『靴をなくした天使』(92)の英国人監督:スティーヴン・フリアーズがキャリア初期の1985年にテレビ映画用に撮ったヒューマンドラマですが、のちに劇場公開され高い評価を得ました。

ロンドンを舞台に、やり手実業家の叔父からコインランドリーの経営を任されたパキスタン移民の青年:オマールと幼馴染の英国人青年:ジョニーの再会と友情と恋を描いた作品で、ジョニー役を若き日の名優:ダニエル・デイ=ルイスが演じています。

近作『カセットテープ・ダイアリーズ』(19)のように、1980年代の英国におけるパキスタン移民の実情を背景にした作品となっていて、“パキ”と蔑称で呼んでくる英国人によるパキスタン人への偏見・嫌がらせや、就職口の少なさ、貧困、学歴格差といった問題が、異国の地で肩身の狭い思いをしながら一族で身を寄せ合って暮らすパキスタン移民の置かれた境遇を物語っています。

ボロボロのコインランドリーを再建するため一致団結したオマール&ジョニーの仕事上の奮闘の過程で、自然と惹かれ合いホモセクシャルな関係性へと発展していく二人の愛情を、オマールとアル中の父親との父子関係や叔父の愛人騒動といった、彼ら二人を取り巻く個性豊かな人々の悲喜こもごもの日常と共に見つめた人間ドラマで、泡立つ時の音や排水ホースを流れる水の音を再現した音楽もユニークであります。
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