TaiRa

アルジェの戦いのTaiRaのレビュー・感想・評価

アルジェの戦い(1966年製作の映画)
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世界中のテロ組織と対テロ組織の両方に観られ続けてるってのが、この映画の一筋縄でいかない感じを表してる。

プロの役者はほぼ使わず、あえて荒く撮ったドキュメンタリータッチなネオレアリズモ映画。フランスの植民地支配からアルジェリアが独立するまでを首都アルジェの戦いに焦点を絞って描く。FLN(アルジェリア民族解放戦線)による警官殺戮や爆弾テロに対し、フランス軍空挺部隊による拷問による炙り出しなど、殺伐とした暴力の応酬が続く。FLNを美化もせず、またフランス側の将軍も単純な悪役にしない。爆弾テロのシーンは本当に爆弾で建物をぶっ壊していたりして異常。子供たちが酔っ払い乞食をリンチしたり、白人の大人たちがアラブ系の子供をリンチしたりする地獄の光景。この殺伐とした感じは『ミュンヘン』思い出した。あれは主人公の立場が逆だけど。クライマックスはキリストの最期を思わせる。ラストの民衆蜂起なんかは『戦艦ポチョムキン』みたいな大迫力。大事なことは「最終的な勝利は暴力では得られない」ってこと。
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