アルジェの戦いの作品情報・感想・評価

アルジェの戦い1966年製作の映画)

LA BATTAGLIA DI ALGERI

上映日:2016年10月08日

製作国:

上映時間:121分

4.1

あらすじ

1954年から1962年にかけてフランスの支配下にあるアルジェリアにおいて、フランス軍と抵抗組織の攻防を描いた『アルジェの戦い』。監督のジッロ・ポンテコルヴォは、映画を作るにあたって記録映像を一切使わず、目撃者や当事者の証言、残された記録文書をもとにリアルな劇映画として戦争の実体をドキュメンタリー・タッチで詳細に再現している

「アルジェの戦い」に投稿された感想・評価

AM

AMの感想・評価

3.6
フランスでは1981年までギロチンによる処刑が行われていた。テロ行為で一般市民まで多数死なせており、単純に主人公たちに感情移入できない。植民地支配が終わっても、独裁政権との戦いが始まると思うとむなしい。音楽が印象的だと思えば、モリコーネだった。独立のわずか4年後に作ってしまうのがすごい。
植民地主義の現実がそのまま伝えられていた。
…本作はいわゆるドキュメンタリー・タッチで撮られているわけですが、よくよく見れば構図やカメラ・ワーク、そして編集がハリウッド的なんですね。
16ミリのザラついたフィルムを更にブローアップしてボケボケ感を出したり、手持ちカメラによるブレブレ感を出したり…などの如何にもなニュース映像の手触りを醸し出してはいますが、ズーム・アップを的確に決めたり、”静”はドリーで陰影もくっきり、しっとり写したり…そして何より編集の、緩急の付け具合が絶妙でして、モンタージュ効果で”ドラマ”を盛り上げることもしっかりやっております。
盛り上げると言えばモリコーネの、土着的なドラムの刻むビートが…圧巻なんですね~。

それと既存の俳優は、フランス軍士官・マチュー中佐を演じたジョン・マルタン以外は素人…実際にアルジェリア戦争に参加した本物をそのまんまの役として起用する、キアロスタミ張りの荒技をやってのけています。

何故、監督のジッロ・ポンテコルヴォは、このような作劇法を採ったのか…

前作「ゼロ地帯」において、ナチスのホロコーストを「美しく撮りすぎ」という批評家からのバッシングを受けての…回答だったわけです。

………

俺は民族解放を旨として設立されたIRAや、PLOなどは小説や映画などでその恐ろしさを何となく知ってはいましたが、この作品で初めて知った、FLNもゲリラ活動に特化した、実に洗練された組織であり、この作品が革命側、制圧側、双方に今も観られ続けているらしいことは、まさに納得の極みであります。

酒もクスリもご法度…ヤクザものはお断り。
規律を破った者は、その友人の手によって殺させていく。
そうやってフルイにかけて、感情に左右されない精鋭のみをザルに残していく。

そしてメンバーの構成はリーダーと部下2人という3点による最小単位の三角形が互いにフィットしないネズミ講に組み重なり、大きなピラミッドを形成しております。
故にメンバーは誰かの部下であり、リーダーでもあるわけですが、そこより上、そこより下は把握出来ない仕組みなんです。


「アルジェの戦い」を観れば、これは今ヨーロッパやトルコで起きていること、そのまんまなんですな。
アルジェリアの瀟洒なフランス人居住地のカフェ、レストラン、空港にコロニーを装った女性たちがバスケットに入った爆弾を仕掛ける。

警官による職質に備えて、銃器を壁の隙間やポストに隠し、警官とすれ違い様にそれを手にするや否や背後から撃ちまくる。


…対するマチュー中佐率いる、フランス空挺部隊(ま、鎮圧部隊なんですが)の方も老獪さでは負けてません。

マチュー中佐のモデルとなった人は、実際に自由フランス軍でナチスを翻弄したツワモノでして、先にはインドシナ戦争でも指揮を執った、フランスの国益のみを優先に考えるキレキレの戦術家であります。そこに対象への偏見などが全く見て取れないのが…逆に怖いんですよ、これが。

ピラミッドの上を取るには、盲滅法に攻撃しても埒が開かない。一つ一つ潰して(つまり拷問でリーダーを突き止めて)階段を上っていくしかない…の作戦によって1957年、アルジェでの戦い(実際は、カスバの局地戦)では勝っちゃうんです。

そう、この「アルジェの戦い」はフランス軍の勝利の物語なんです。

…そして時は流れ…1961年、アルジェリアはフランスからの独立を勝ち取ります。
映画では、字幕とダイジェスト映像でそこに至る流れをちゃっちゃと済ませます。

…劇中、FLNの指導者、ベン・ムヒディは語ります。

「テロが有効なのは最初だけ。世界の目を向けさせること。そして最終的に勝利を決めるのは、民衆の行動だ。」

”アルジェの戦い”は120年に及ぶ圧政の下、苦渋を忍んできたアルジェリア人の心深くに、行動するための確かな種を蒔いたんです。

…………

イスラム国の概要の全てを簡潔に語るなんてこと、池上彰さんでも無理だと思います。

サラフィ主義やらカリフ制なんて、きっと外国人から見る(古事記・日本書紀に立脚した水戸学から生まれた)尊王攘夷みたいなもんだと思います。

学問、宗教、民族…などの形而上学的、抽象的なイデオロギー…もしくはデカルト以降の近代個人主義が行き着く果てのグローバル経済が推進力となる革命は(フランス革命が失敗に終わったように)、排他的或いは選民思想の陥穽に躓き、流れた血は他の血でしか贖えない、救いのない無間地獄に彷徨うだけだと、俺は思うんです。
世界の目を向けさせるためのテロだとして、目的化してしまったテロリズムに対して、どう向き合えばいいのか…


革命とは、不当に抑圧され続けた者たちが、立ち上がる、それだけのことだ…と、この作品は今のテロリズム、革命に警鐘を鳴らしているように感じたんですね。
マイク

マイクの感想・評価

4.1
映画見る前は
映画に詳しい人が
好きな映画という印象でしたね。

色んなリストでタイトルだけ観たので、


映画観た後は
古い映画やのに
戦争のリアルさを描いてるなぁという
印象です。

むしろ記録映画にも思えるほどですね。

今回はレンタルで借りれましたが
こういう映画をもっと増やして欲しいですね
レンタルビデオ屋には。
たぐは

たぐはの感想・評価

4.7
本当にすごい。最後のシーンは圧巻で、ドキュメンタリーじゃない事の方が驚き。歴史は勿論なんだけど、映画の撮り方に興味が湧く。歴史に背を向けずに、目を逸らさずに。
misaki

misakiの感想・評価

-

このレビューはネタバレを含みます

クライマックス、ついに独立か!と思いきや、なんと独立2年前のデモのワンシーン。
ええっ!!!独立した瞬間が見たかったじゃん!!!!!と、なかなか消化不良だった……。

世界史に詳しい人はきっと燃えるんだろうな~。映像の世紀を観ている気分。

徹底的にリアリズムを追い求めた作品なので、史実をろくに知らない私はこの映画を評価できる立場にないように思う。けど、個人的にはあまり没入できなかったな…。キューブリックが撮る戦争映画のがずっと面白い。
矢口

矢口の感想・評価

3.9
1950年、フランス政府は北アフリカのアルジェリアで沸きあがった独立運動を阻止するために、大軍を投入した。民衆は怒りに燃え上がり、テロ活動に火がついて首都アルジェは騒然、双方が目には目、歯には歯で復讐する憎しみの非人道的テロをくり返し、多くの血が流れた。
アルジェリアのフランスからの独立までのアルジェリア戦争を描いている。
(amazonより)
アルジェリアがフランス支配されていたが、アルジェ反乱組織がフランス軍と闘いながら、独立国となっていく様をドキュメンタリー・タッチで描いた傑作。

この映画がヴェネチア映画祭でグランプリを獲得した瞬間にフランソワ・トリュフォー監督以外のフランス人が退席したというエピソードが残るほどリアルな描写。

見事な傑作映画。
アルジェリア独立戦争の顛末を恰もその場で撮ったかのような臨場感で映像化した凄い作品
カスバ市民が協力したと言われるモブシーンは今や再現不可能
ダンスホール?や競馬場で爆弾が爆発するシーンは、人が大勢いるのに、その場でホントに爆発させている(汗)
大丈夫だったのか?
裕福な入植者たちは、目の前でドンパチが起きていても、緊張感もなく日常生活を楽しんでいるが、
一方で貧しい先住民たちはどんどんと先鋭化してゆく
その対比が軍隊対軍隊ではなく、軍隊対民間人(主に先住民)とゆー図式に至るこの戦争の奇妙な現実感を表わしている
実写フィルムは一切使わなかったそーで、徹底的に再現を図った、その拘りには敬服
クライマックスのデモシーンは圧巻
また、この手の作品は食わず嫌いに陥りがちだが、時系列に沿って順を追ってお話が進む為大変わかりやすい
監督のジッロ・ポンテコルヴォは知る限りじゃ生涯に数本の作品しか残しておらず、
ネオリアリズムを貫き通し、商業映画には流れなかった人
フィルモグラフィにマカロニウエスタンの一本でも入ってりゃ、それはそれで嬉しかったのに(笑)
アルジェリア独立から、たった4年後の作品であるがゆえ、画面に緊張感が残っている。FLNを正義の味方とせずに、スケールの大きな歴史的な物語として、そこにある事実として描く。ドキュメンタリー出身のポンテコルヴォらしい、リアリズムの徹底。
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