aya

忍びの国のayaのネタバレレビュー・内容・結末

忍びの国(2017年製作の映画)
3.6

このレビューはネタバレを含みます

中盤過ぎまでコメディ要素が強い演出で、平兵衛との一騎打ちから無門の心の変化、お国の死までのシリアスな展開に心がついていかず。
大野智はじめ鈴木亮平など演者の芝居がよかっただけに非常に残念。

川のシーンのアクションは本当に見応えがあり、手に汗握る。決着は残酷で容赦なく、何度も何度も斬りつける無門に、心臓が掴まれたようだった。忍びの残酷さの一方で、もう終わりにしてあげたいという無門の思いも表れていたように思う。
そこからの無門の表情の変化、台詞まわし、絶叫は素晴らしく、胸が苦しくなる展開だったが、シリアスな流れに行くには急速すぎて、無門の心情の変化には心が追いつかず、感情移入しきれない。

平兵衛やお国とのやりとりをもっと丁寧に時間を割いて描いてほしかった。
男同士だから一騎打ちをしたら分かりあえました、では無理があるし、感情が追いつかない。平兵衛との一騎打ち前の無門とその後の無門への変化が急すぎるかと。
お国も出てくるたびに言うことが変わっていくようで、自分の考えで無門を振り回しているだけに見えてしまうような。。。(鬼嫁だからいいのか?)
お国の死で感情が爆発する無門に観客が同調できるよう、丁寧に描いていってほしかった。

また、近距離の殺陣は素晴らしかった一方で、戦シーンのCG感が激しく、そこでもコメディ感が非常に強い。
コメディはコメディでおもしろいし、くすくす笑うところもあったが、アクション、コメディ、シリアス、時代劇、恋愛、結末の現代への繋がりなど、
結局どこを1番描きたかったのか?というところが不鮮明になってしまっていたように思い、感情が迷子に。

あと私は音楽が。。。
そこでその曲なの?と思うところが多く、入り込めなかった原因のひとつになっていたように思う。

人を人とも思わない忍びたち。買われてきて忍びとして育ち、それを異常とも思わず、人の心、人の命の大切さなんて誰も教えてくれなかった。
そんな無門の生き方が、最後に1番大切な人を失う事に繋がっていくことは本当に悲しく、苦しい結末。予告での印象より深みがあり、いい意味で、こんなにシリアスな結末になっていくのか、と裏切られた感覚があり、大筋は良かっただけに、惜しいというか、残念につきる。
原作未読のため読んでみようと思う。
aya

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