ニューランド

アンダーワールド・ストーリーのニューランドのレビュー・感想・評価

3.6
✔️『アンダーワールド·ストーリー』(3.6)及び『群狼の街』(3.6)▶️▶️

シネマヴェーラの、赤狩り時代の映画の特集は垂涎の物が揃ってるが、しんどいし重めの傑作間違いなし作は外し、軽く構えず観れる作を、全プログラムの2割程度の本数で向かい、以前観てなかなか面白かった作家を、既鑑賞作を含む二本程度見て、評価を確定したいと思った。
『アンダ~』。黒澤のこの上なく感動的な、秀作『醜聞』を思い起こさせる、「天使」と同等の「英雄」の生まれてく話で、セット等もかなりの低予算なれど、名手S·コルテスの明るめのグレーや白の存在感ならぬ質感·高い次元の正確さが他の誰にも真似できなく、陰や闇は覆うものでなく、部分を不可解に遮る除去できるものとして正確に捉えられてる、ビジョンがよくマッチしてる。どんでんや·白熱の切返し、俯瞰やローらの構図、寄るやフォローの移動、映画として熱しそうな確たる所もあるが、全体のカットの配置から主人公の意識の転換が普通に伝わりくる、それらの流れを括っての主人公の内面の無形·理性的な伝わりが、感動の手応えと化してくる。
暗黒街のボスの側近が検察側の証人となるニュースを掴んだ記者が、新聞掲載は止められるも、ボスにネタを売り、証人を殺させてしまう。検事の意向もあり、退社、ボスからまたせびりで小さな地方新聞の共同経営者となり、スキャンダル暴き·その口封じ金で、金の獲得に向かう。早速、大新聞の社主の義娘殺害ニュースをどこより早く得て、まず大手へも高く売り付ける。メイドの(宝石売飛ばしの内密前科もある)黒人娘がクロ確実の容疑者となるが、秘められた真犯人は妻や父へのコンプレックスからの、社主の息子だった。社主からの褒賞金狙いも、それまで黒人娘の地元の支援団体を立ち上げ盛上げ、多額弁護士費用捻出の、半分は着服予定を立てる主人公。が運動切り崩しの中、あのボス(の息かかった者ら)を自分に向け送り込んだ場から、真犯人を割り出しす、また、護るべき価値観を見出だし、殉ずるに躊躇いも消えてく。が、要請に応じた因縁の検事は口約束で来ず、自分の拉致·通じてる者(共同経営の正義感と情の強い娘)を割るリンチに合う。屈しない間に、いつしか通じあってた当の共同経営の娘の説得で、恥を嫌うを抜けた検事ら到着へ。
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何年か前により大きな催しで観てた『群狼~』。繰返し何度も納得するまで観てく、映画ファンのやや上の世代の堅い行き方もま、一つ道理はある、と理解深まった気もする。「社会の歪みが暴力を産む。憎悪より理性で立ち向かう事」ショット自体は、車絡み·人の絡み·増長らに関し、かなり華々しく痛烈なカットを、黒~グレー~白の階層もシックリと、造り上げてゆく。仰角位置·俯瞰め·ロー·縦図らのポイントが鮮やかに強く、端々で極ってく。しかし、その精密な組合せ·次段階のバネ作りとなると、弱く組み上げきっていかない面が残ってく。ボストンから憧れのカリフォルニアへくるも失業、2番目の子も生まれる予定でこの地は離れられない、妻子からのプレッシャー、ふとボーリング場で逢った男の悪事の送迎から加担へ、金回りは良くなるも、相棒は思わぬ殺人まで、(映像視界から反射行動まで)ノイローゼから近しくなった女に口走る、主犯も逮捕へ。予てよりの知人の記者が裁判前に断罪し、群集心理に火をつける。記者は保安官の「社会·世界全体が犯罪の実行者」の言葉に、主人公の本音の手紙をその妻から知らされ、改定へ向かうも売らんかなの商業主義には無力。
果たして留置場を破壊、容疑者を連れ出した群集の私刑が巻き起こる。画面全体を凝り固まった人間らが埋め、それが直線的に動き出し·行き先止まらずへ向かう、描写の映画を超えた、迫真のニューズリール見せつけ感。フィクションドラマとしての映画の消失感。圧倒も、反面の埋め方今一つ。ジャーナリズム批判の姿勢自体が裏返しのジャーナリスティック表現で留まってる。冒頭の、「何よりも神に対し、自分の中の悪の要素を見つめ続けろ」という狂信的宗教アジテイターがも少し絡めば。悔いというより犯罪自体が間抜けであざとい。
勿論当時広くもてはやされた映画でもないが、欠陥はあっても充分今も生き続けてて、(内的な)より広く日常化浸透してきてる一般的ジャーナリスティック指向の歪みの捉えはシャープ·的確で、昨年のアカデミー賞作品賞ノミネート作(全部は観てないが)に混ぜても、これらをはっきり超えてるは『TAR』『トップガン~』『エルヴィス』くらいか。
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