Jimmy

ベロニカとの記憶のJimmyのレビュー・感想・評価

ベロニカとの記憶(2017年製作の映画)
3.8
渋谷ユーロライブでの試写会にて鑑賞。

「老いた男が40年前の記憶をたどっていく感動のミステリー」という宣伝文句を見ると、「老人の思い出かな?」と思ってしまうが、とんでもなく素晴らしい映画だった!


物語は、老いた男=トニー(ジム・ブロードベント)が小さな小さなカメラ屋を営業していて、中古のライカを売っている。そんなトニーは「こんな穏やかな生活が好きだ…」ということを全身で表現するように、のんびりと庭園でくつろいだりしている。

そして老いたトニーが、元妻マーガレット(ハリエット・ウォルター)に「自分の青春時代」を語り出す。それは、ベロニカとの出会いであったり、友人たちと過ごした友情の時間だったりする。
特に、若き日のトニー(ビリー・ハウル)が美少女ベロニカ(フレイア・メーバー)と出会って、ベロニカの父親が運転する車でベロニカ宅に行って食事して宿泊するシーンは丁寧に描かれている。
そんな美しい青春時代の綺麗な映像も、バッサリと終了させる見事さ。
元妻マーガレットが「もう聞きたくない!」と言って、聞き手不在となるのだ。
そしてまた現在のトニーが描かれる、といった構成の見事さに眼を見張ることになる。

更に、現代の老人トニーは、やはり老年女性となったベロニカ(シャーロット・ランプリング)と再会し、一通の手紙を渡される。ベロニカは手紙をトニーに渡すとサッサと立ち去ってしまう。そんなベロニカを尾行するトニーの場面は、非常にスリリング!
そして、その手紙に秘められた内容は、戦慄を覚える様な恐るべき想いが綴られており………
と物語が続いていく。


ノスタルジー的であり、現代的でもあり、基本的には老人男が過去を語る形で現在と過去を混在させた素晴らしい構成によって、人生とはどのように過ごすべきか考えさせられる奥深い映画であった。
Jimmy

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