Benito

ベロニカとの記憶のBenitoのレビュー・感想・評価

ベロニカとの記憶(2017年製作の映画)
4.0
【 過去の思い出は、都合よく装飾される 】

・舞台はロンドン 
・年金生活を送るバツイチ老人
・見知らぬ弁護士からの1通の手紙
・奇妙な遺品、それは手紙
・自殺した親友
・初恋の女性の記憶、そして彼女の母親…

インド人監督のR・バトラがイギリスの文学賞ブッカー賞に輝いたJ・バーンズの傑作小説「終わりの感覚」を映画化。

いつのまにか、都合よく解釈して記憶を美化していた老人は、ある手紙の存在によって過去の記憶を揺るがされるどころか、修正しなければならなくなる。なんだか日常にあるイタい話題のようで、ミステリータッチでもあるし、切ないところもある、それでいて余韻が残る渋い作品だった。

J・ブロードベンド
C・ランプリング
名優ふたりが、ほんとにいい

ブロードベンドは「ブリジット・ジョーンズ」シリーズでブリジットの父親役でお馴染みだけど、今回はシリアスというか味わい深い役。ランプリングは、登場時間少ないのにさすがの存在感、その佇まい・雰囲気にはいつも圧倒される。

劇伴はマックス・リヒター
いつもよりライトなタッチの作風

記憶というのはほんとうに曖昧
すっかり書き換えていることもある
そんな主人公を、優しくというよりも淡々と捉えて描写している点や、時間軸を過去と現代を交差させている点がドラマに渋みと深みを出していると思う。
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