認知症で記憶があやふやという設定なので、オチはそうなるだろうなと予想できるものの、そこに至る過程が丁寧なので見ごたえがあった。
アウシュビッツで家族を殺害したナチス兵士を友人の手紙を手がかりに探しに行くという大枠のミステリーがしっかりしているため、主人公のゼブがふらついても、物語のベクトルがブレないのが良い。
合間合間に入る、殺人を犯しに行くのがバレそうになるサスペンス要素によって、見る側のドキドキが主人公のゼブに重なることで感情移入できる。
それによって、オチのどんでん返しが効いてくる構造になっている。