くじら

手紙は憶えているのくじらのネタバレレビュー・内容・結末

手紙は憶えている(2015年製作の映画)
3.9

このレビューはネタバレを含みます

 認知症の老人ゼブの復讐劇という文言に興味を持ち鑑賞。ただゼブの、というよりこの人の手によるマックスの復讐劇だった。

あらすじ
 施設に入っているゼブは妻の死後認知症が悪化し、記憶が保てない。妻が死んだこともメモで知る。ゼブのために覚えていた方がいいことをメモしてくれるユダヤ人で車椅子に乗っているマックス。
 復讐のためマックスの手紙を頼りに施設を出て旅に出るゼブ。家族はアウシュビッツで殺された復讐に駆られている。すぐに記憶を亡くし何も分からなくなるので手紙を読むよう腕に書く。マックスのすすめで銃を買う。
 1人目は店を構えてる?ドイツ人、戦時中はアフリカの部隊にいたため違う。ユダヤ人に国を壊されたというも、虐殺は恥ずべき行為だと語る。
 2人目はカナダの病院に。アウシュビッツにいたドイツ人だが、腕に番号が。彼は同性愛者で、ゼブは慰める。
 3人目は3ヶ月前に死んだという。その息子の案内を受けるも、子ども曰く故人は当時10歳だったという。違うと分かり出ていこうとすると、腕の番号からユダヤ人と罵られ犬を嗾けられそうになり息子ともども銃で撃ち殺す(普通に弾は当たる)シャワーを浴びると記憶を失っている。
 妻の姿を見たと思い転けてしまい病院に運ばれる。息子に連絡が行く。
 4人目アウシュビッツにいた。ゼブは声は忘れないと言うが、本当は彼とゼブがアウシュビッツの人間で、2人は仕事から逃れるために番号を腕に書き込んだと言う。
 真相を悟ったゼブは4人目を撃ち殺し子供の前で自死する。
 施設でニュースが流れる。マックスはゼブは分かっていてこの事件を起こしたと言う。マックスの部屋には若い頃のゼブの写真と資料が。

感想
 ゼブが記憶を失って妻が死んだことを手紙で思い出す描写が繰り返されて悲しい。途中パスポートや服のタグがなって警官に拳銃が見つかったりするシーンにはハラハラした。ホロコーストの話でもあるが、記憶のないゼブを通してなので過去のシーンが全くないし、ゼブの奥さんがガンで死んだという話が出てきた時点で怪しむべきことだったのかと思う。また、記憶がなくて手紙しか寄るべがないとは言え、ここまで従ってしまうのはその性格的なものなんだろうか。
 マックスはゼブが施設にやってきた時どんな気持ちだったろうと思う。長年追ってきて殺してやりたい男が腕に番号を持っていて、さらに記憶まで無い。そして自分は自由に動けない。そんな男に自分の復讐心を植え付け、関係者と思わしき人間と接触させ残党の炙り出しと、ゼブに記憶を戻してから復讐しようと思ってたのかな。
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