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幼な子われらに生まれのlaBamba01のレビュー・感想・評価

幼な子われらに生まれ(2017年製作の映画)
4.2
観ながら自分が子供の頃経験した親の離婚を思い出し、主人公の心情、そして継子長女の寄る辺なさ始め、登場人物たちのそれぞれに纏わる夫婦という他人同士、血の繋がらない父娘、家族という集合体への理想と幻想、様々な葛藤を観るにつけ、他人事でいられなくなり魅入ってしまった。

特に、継子長女が主人公に向ける態度や仕草は かなりリアルだったと思う。

彼らの暮らす集合住宅の立地が印象的。あの斜めに人を運ぶエレベーターと、並行する階段...繰り返し出てくるこの場所で、主人公の心境の微かな変化や転機が訪れる描写は秀逸。

主人公が出向した配送センターの日常や、通勤電車、シャトルバスと言った、一見単調な日常シーンの繰り返しが、主人公の心境の変化を浮かび上がらせていく。
時制の省略も さり気なく、効果的。

それにしても、ラストカットのあのヒンヤリとした体温の低さに驚いた。

監督の悪意というか、底意地の悪さというか、突き放した様な冷静な眼差しを感じたのは、自分だけかな?←褒めてますw

マァ取ってつけたみたいなハッピーエンディングみたいな陳腐さは皆無。「幼な子われらに生まれ」...読点を打たない題名には、この先、家族それぞれのあれこれはともかくも、そして人生は続く...ライフ・ゴーズ・オンという風なリアルを感じ取る事が出来た。

でも それにしてもあのラストカット、なんだか ホッとできないホラーみたいな後味だった...嫌いじゃないけどさ。
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