ごんす

ワンダー 君は太陽のごんすのレビュー・感想・評価

ワンダー 君は太陽(2017年製作の映画)
2.6
何年か前に観てそこまでハマらなかった本作。
今ならもう少し好きになれるのではと思い再鑑賞するも、まだ合わなかった。

フォローさせてもらってる方や評論家の人が絶賛しているものでここまで自分が乗れなかった映画は初めて。

この映画が伝えたいメッセージは素晴らしいと思うし、終始明るい雰囲気も嫌いではない。
章ごとにオギーの姉のヴィアや姉の親友ミランダにも焦点が当たっていたりする所などとても良いなと思う。

丁寧にオギー以外の人達も描くことでこんな人達に愛されて育ったのならオギーも明るい性格になるだろうなと納得できる。
前半は好きかもしれない。

逆にオギーが通うことになる学校の生徒達や教師は一面的なキャラクターが多いように感じる。
何より映画内で起こる問題の殆どを人格者の校長に解決させすぎな気がする。
物語を引っ張るキャラクターがいるのは良いけれどやっぱり芯に迫るようなことを言わせすぎだと思う。
もし校長がここまで良い人じゃなかったらどうなったんだろう。

タイトルが「校長~君は太陽」なら良いのだけど。

※ここからネタバレ沢山。







いじめの主犯格のジュリアンの映画からの退場のさせ方について。
ここはこの映画好きな人でも引っ掛かる人いると思う。

彼も最低な考え方の親の犠牲者のように見えるけどこの映画の世界観なら校長にではなくオギーに謝る所まで見せてほしい。
勿論オギーに対するいじめは最低なので
彼を擁護するつもりはないのだけれど。
あの親に育てられてまともに育つわけない。
逆に謝る心があったのがすごいくらいで。
校長の語る物事の二面性とは彼にも当てはまっている。

しかし結局「いじめは悪いとどこかで本人も分かっているのだ…」という感じがして投げやりに思う。

原作小説ではもっと彼はスパッと退場させているようで一面的にジュリアンを非難する声が多く「もうひとつのワンダー」という小説ではジュリアンの視点も沢山書かれたらしい。
映画ではそちらも反映させたのか校長に対する「ごめんなさい」
そして校長の「わかっているよ」でジュリアンも悪魔ではないのが分かるようになっているが…
やはり校長依存が強く感じる。

校長の人柄は素敵だけど、彼の全てを分かっている理解者という雰囲気が作品全体に浸透しすぎて物語にファンタジー感を強めている気が。
このテーマではファンタジーだなと思ってしまうと心が離れる。

大人が手助けするのは勿論大切だけど
子供たちだけで解決、成長する所をもっとじっくり観たかった。
ジャックとオギーの仲直りの仕方もちょっと…

オギーは物事の二面性を理解した子供なのかもしれないけど、
あれだとジュリアンをぶん殴ったから許したみたいにも見える。
ウィル・スミス事件もありアップデートされているので余計に考えさせられる。

終盤のキャンプでもイジメっ子側にいたパワーキャラが不良に立ち向かったオギーに「さっきはカッコ良かった」と偉そうに手差し出してきていつの時代の漫画だよと思ったけれどそれはまだ良かった。
極めつけはラストの表彰だった。
あれは自分には結局オギーが“ふつうの人達”の仲間に入れてもらえたみたいな印象になってしまった。
「静かな強さで大勢の人の心を掴んだ」と校長は語るのだけど急だな!と思った。

やはり校長の映画だった。
ジュリアン親に語った「オギーは見た目を変えることはできません。私達が見方を変えないと」とかジャックへの手紙の「物事には二面性がある」とか校長の言葉は素晴らしくて、映画全体にはハマらなかったけれど、そこから気付けることは確かにあったと思う。
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