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ワンダー 君は太陽のnanamiのレビュー・感想・評価

ワンダー 君は太陽(2017年製作の映画)
4.8
予告を観た時から
「これは絶対最高の映画じゃん...」と思ったけど、
予想通りかつ、予想を良い意味で裏切ってくる
素晴らしい映画だった。

こういう話だと主人公にのみ焦点が当たって話が進んでいく場合が多いから、
本作もそんな風に進んでいくんだろうなと思っていたら、
映画の中でいう第2編でオギーの姉のヴィアに焦点が当てられる場面が発生するのにまず驚かされる。
その際にヴィアが「オギーは太陽で、ママとパパと私はその周りの惑星」という、
自分の家族関係を宇宙に例えているシーンが出てくるのだけど、その例えがすごく衝撃的で胸を打たれた。

太陽にばかりに気を取られ、
親に目を向けてもらえない寂しさと、
それでもオギーを大切に思うヴィアの優しさが描かれ、彼女の人間性が明らかになっていく。
その後も、オギーの友人のジャックやミランダといった、家族以外の惑星達にも焦点を当てた場面が合間に差し込まれて物語が進んでいく。

113分の映画だから、
どうしても尺が足りなくて描ききれてない感を感じる箇所もあったけど、
惑星たちの行動や心情が描かれる度に
「この子、本当はこんな風に思ってたんだ..」と、
惑星たちの人間性もどんどん明らかになっていくのが良い。
オギーの周りにはいい人がたくさんいるんだな...。

そんな展開の中、ラストシーンのオギーの
「世界中のだれもが、一生に一度はスタンディング・オベーションを受けるべきだ」
「心の中が覗けたら、みんなも普通じゃないと思う」
というナレーションがまた良い締めで最高..。
本作は圧倒的にオギーが主人公で太陽なことは変わりないのだけれど、
周りを取り囲む惑星達をモブへ消化させずに、
登場人物は皆それぞれ思いを抱えながら生きているんだという、
当たり前だけど見落としがちな大切なことを私達に伝えてくれて、
それをオギーがちゃんと最後に自分で気がつき、感謝と尊敬の念を持って話が終わるのが最高だった...。
もっと自分も周りの人の気持ちを汲み取って、
優しくなりたいと思えた作品だった。
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