キッチー

喜望峰の風に乗せてのキッチーのレビュー・感想・評価

喜望峰の風に乗せて(2018年製作の映画)
3.2
コリン・ファースの映画18本目。
彼の演じる二枚目なのにおかしな人物が大好きです。
でも、今作はクスッと笑えるところはほとんどなく、シリアス寄りの作品でした。実話を基にした映画なので仕方ないのですが...

ヨットの機器を製造販売する会社を経営するドナルド・クローハースト(コリン)はただのビジネスマンで航海については素人でしたが、事業の業績回復のカンフル剤として単独無寄港世界一周ヨットレースへの参加を決めてしまいます。彼は資金集めのため、自宅や会社を抵当に入れ背水の陣でレースに臨みます。しかし、彼は早々にコースを外れてしまうことに...。最初から、まさかの船酔いとか、前途多難で、無謀なチャレンジだったのてすが、スポンサーや応援してくれる人々の手前、レースを止めることができないドナルド。彼は無線も切って自分の位置も隠します。次々に脱落していく参加者たち。予想外の展開に彼が最後に取った行動とは...
様々なプレッシャーと葛藤が彼を攻め立てますが、彼が思うのは家族のこと...切ない話でした。

今作のコリンは航海に出るまでのスポンサー集めや船の建造など、精力的な前半こそ、楽天家でコミカルなところもありましたが、航海に出てからはシリアスでしたね。焦り、葛藤、絶望、そして家族への愛、空虚な表情、観ていて苦しかったです。
妻クレア役のレイチェル・ワイズは最近観た「女王陛下のお気に入り」で強い女性のイメージを持ちましたが、今作では柔らかい表情も組み合わせ、夫への愛の深さを感じさせる演技、こちらも良かったです。

しかしこの話が実話とは...出航期限までに船を完全に仕上げることが出来ず、航海の始めから修理しながらの航海になったことや、出航時のどさくさで修理部品を忘れるとか致命的でした。
背水の陣で望んでいるだけに、引き返せないドナルドが気の毒でした。




※ 1968年イギリス。単独無寄港世界一周ヨットレース、サンデー・タイムズ・ゴールデン・グローブ・レース(ロンドンから南下してアフリカ大陸の最南端を東へ抜けオーストラリアの南を通りアメリカ大陸の最南端を東進して北上、ロンドンに戻るレース)で、航海素人のビジネスマン、ドナルド・クローハーストのチャレンジ。
キッチー

キッチー