このレビューはネタバレを含みます
原子力潜水艦クルスクの沈没事故を描いた作品。
欠陥のあった魚雷の爆発によって、潜水艦が沈没。
一番爆発しちゃいけない場所で、一番爆発しちゃいけないものが爆発するという絶望感しかなかったのですが、幸運にも後部にいた乗組員だけが生き残ると。
そこからは救助を待つ乗組員の姿が描かれるわけですが、牛乳を使って水の流れを調べたり、酸素を発生させる装置など、従来の潜水艦映画では見たことのない描写を見れたのは良かったです。
ただ、基本的には救助を待つだけなので、サバイバル映画としての面白味は希薄。
救助する側にしても、ロシアの潜水艇はポンコツで何も出来ないし、イギリスの救助隊は簡単に船内に到着するわで、こちらも大して面白くないんですよね。
乗組員が全員死亡するという結末もビックリで、てっきり奇跡の救出劇が描かれるものだと思っていたら、こんな救いのないバッドエンドが描かれるとは…。
実話ベースであり、プーチンの大統領就任時に起きた事件という事で、後のロシアという国やプーチンという人間を考える上で、非常に示唆的な事件と言えるのかもしれません。
また、個人的には『激動の昭和史 沖縄決戦』を見た直後という事もあって、乗組員を見捨てるロシア政府は日本軍と同じじゃん!とも思いました。
日本人は『沖縄決戦』の様な映画を通して、過去を反省する事が出来ますが、果たして、本作を見たロシア人がどれくらいいるのか…。
本作を一番見なきゃいけないのはロシア人だし、ロシア人こそがこういう映画を撮らないといけないと思うんですけどね。