フロントスカイ

風花 kaza-hanaのフロントスカイのネタバレレビュー・内容・結末

風花 kaza-hana(2000年製作の映画)
3.7

このレビューはネタバレを含みます

この日から12本続けて邦画鑑賞。
体調不良(プール熱?)のため自宅に篭っていたため。
そのため、前売券を購入していたサロンシネマで一夜限りの『14歳の栞』は見逃すことになってしまった😢

投げやりな風俗嬢(小泉今日子)とエリート官僚(浅野忠信)によるしっとりとしたロードムービーで、相米慎二監督の遺作となってしまった作品。

オープニングシーンは、桜の木の下の二人を俯瞰する相米監督の特徴である長回しのカット。
おそらくバブルが弾けお祭りのような世界が崩れていった後の社会なのだろうか?感情を極力排した静かで坦々とした演出が、暗く沈んだような雰囲気となっている。

北海道の風景を背景にした車の旅。
社会から逃げ彷徨う二人のちょっとした会話からは人間の弱さを物語り死へと彷徨する旅を想起させる。そんな二人の心情にピッタリと寄り添う目線で描かれていく。

小泉今日子が人生にくたびれて崩れた感じの風俗嬢を自然な感じに演じている。
暗い川で泣きながら線香花火をつけて浮かび上がるショット、夜の雪原で死を覚悟して踊るシーンがとても幻想的。
浅野忠信が必死に身体をさすり続け、彼女の目を覚まさせようとする真剣な姿、命を救われた彼女。
はかなさのなかにも薄日がさし希望を感じさせるような終わり方に救われた。

それでも人生は続く的なラストの余韻を残す演出が上手い。その時の瞬間的に迷う男の心情は理解できるし、その先行きを考えさせられた。