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ラサへの歩き方 祈りの2400kmのkyanameのネタバレレビュー・内容・結末

3.8

このレビューはネタバレを含みます

とにかくスケールの大きい作品。作中で見られる景色は全行程のごく一部とはいえ雪道・草原・崖下・ザレ場・つづら折りの舗装路など変化に富み、遠くにそびえる山脈と巡礼者との対比は自然の雄大さと人間の小ささを際立たせる。しかし小さな巡礼者の移動距離は2400kmというのだから負けず劣らずの大スケールで、私には計り知れない。しかも五体投地というのだからわけがわからない。始終感心しきっていた。

私はもちろんこんなに長い旅をしたことはないが、道中の様々なアクシデントや新たな出会いにはその都度共感させられた。カメラワークや中国語での会話など気になる部分はあったが、観終わって公式サイトを見るまでドキュメンタリー映画だと思い込んでいたほどだ。公式サイトの制作ノートからもその自然さを生み出した撮影の様子を窺い知れて興味深い。

惜しむらくはラスト。なぜ「オレたちの巡礼はこれからだ」ENDにしてしまったのか。巡礼者たちの終点に到達した、そして帰還した姿が見たかった。制作ノートにもあるように時間の問題があったのだろうが、もったいないと感じる。

とはいえ十分面白い作品だった。旅がしたいなあ。

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