すず

ハイドリヒを撃て!「ナチの野獣」暗殺作戦のすずのレビュー・感想・評価

4.0
ハイドリヒ暗殺の英雄譚ではない

原題[Anthropoid]。相変わらず気に入らない邦題。だけど、この邦題で興味を持ったのも事実(^_^;)
ユダヤ人大量虐殺の実権を握っていたラインハルト・ハイドリヒを暗殺したエンスラポイド(類人猿)作戦を描いた映画。実話。歴史映画。スリラー映画。

イギリスのチェコスロバキア亡命軍から選抜された7人の兵士のうちヨゼフとヤンの2人が軸になっている。

ヨゼフを演じたのは[ダンケルク]で戦争により精神を病んだ兵士を演じたのが記憶に新しいキリアン・マーフィ。

恥ずかしながらこの史実を知りませんでした。あらすじも読まずに観たので先が読めない展開が逆にスリルがあって良かったです。

構想15年。調べれば調べるほど残っている資料を忠実に再現したことがわかる。(ラブロマンスはフィクション?)銃撃戦の建物も外観は本物だし、中も写真を見ましたが、忠実に再現されている。パンフレットによれば銃撃の発生順まで再現している。

前半は暗殺までの緊迫感あるサスペンス。終盤は手に汗握る銃撃戦。どうか終わらないで欲しいと願わずにはいられない。ラストのキリアン・マーフィの青い瞳が全てを悟った表情が美しかった。

ラストの字幕でチェコのために大義を果たした彼らが正しかったのかがわからなくなる。そこが英雄譚では終わらない史実の重さを感じさせ、心が痛むわけで、とてつもない余韻が残る。彼らは国が救われるための英雄であり、犠牲者だった。

彼らに最大限の敬意を払った熱量のある映画だった。


⚠拷問シーンありのため、苦手な方は注意⚠


それでも観られるべき映画。
邦題はB級感だが後世に残して欲しい。少しでも多くの人がこの事実に興味を持ち、この映画を観てくれることを願います。

私はいつかもう一度観たいと思っています。


調べてみたら、エンスラポイド作戦を扱った映画は他にもある。本作はチェコ側視点だが、[死刑執行人は死す]は事実を基にしたフィクション仕立て。[暁の7人]はナチス側にも触れており、本作に近い。こちらも観てみたい。また2018年には[HHhH](ヒムラーの頭脳はハイドリヒと呼ばれるの略)が公開されるようなのでこちらもチェックしたい。





~以下、ネタバレやらメモやら~
再見時、修正入るかも?





ハイドリヒはヒトラー、ヒムラーに続くナチスのNo.3

暗殺部隊はヨゼフとヤン以外に支援部隊としてシルバーAとシルバーBがあり合計7人。生還の見込みがないため、全員独身者。

ヨゼフ・ガブチーク軍曹(銃の故障により車への攻撃に失敗)
ヤン・クビシュ軍曹(車に手榴弾を投入)
アドルフ・オパルカ中尉
ヨゼフ・ヴァルチク軍曹(鏡で合図を送った)
ヤロスラブ・シュヴァルク軍曹
ヨゼフ・ブブリーク軍曹
ヤン・ハルビィ軍曹

カレル・チェルダ(裏切り居場所を教えた)

3人の隊員(オパルカ、クビシュ、ブブリーク)が先に応戦し、死亡。
4人の隊員(ヴァルチーク、ガブチーク、シュヴァルク、ハルビィ)は地下にて応戦。[暁の7人]では死ぬ順番が違うようだが、本作が正しい。

ナチス高官暗殺計画唯一の成功例。というのもこの作戦での報復が酷すぎたため、報復を恐れた連合国はこれ以降ナチス高官の暗殺計画を中止した。

酷すぎる報復とは村1つ消滅と5000人の処刑。正確にはリディツェ村とレジャーキ村の2つの村が壊滅させられ、リディツェ村は再建するが、レジャーキ村は地図から消えた。