えくそしす島

RAW〜少女のめざめ〜のえくそしす島のレビュー・感想・評価

RAW〜少女のめざめ〜(2016年製作の映画)
3.6
【食、最大の禁忌】

原題はGrave「重大な、深刻な、」
そして、RAWとは「生(なま)の、」などの意。

そう、今作のテーマは「カニバリズム(食人、食人俗、人肉嗜食)」だ。

儀礼、嗜好、悦楽…、そして本能。

監督:ジュリア・デュクルノー
脚本:ジュリア・デュクルノー

2021年のカンヌパルムドール受賞作品の「TITANE/チタン」。同監督の長編デビュー作でもある。

あらすじ
ジュスティーヌ(ギャランス・マリリアー)はベジタリアンの獣医一家に育ち、両親、姉のアレックス(エラ・ルンプラ)と同じ獣医学校に入学。初めて親元を離れ、見知らぬ土地の大学寮で学生生活を送ることになるのだが…。

カニバ系作品と言っても内容は様々。

食人部族や一家に襲われる
「食人族(グリーンインフェルノ)」や「サランドラ(ヒルズ・ハブ・アイズ)」。

独自信仰がテーマの
「猟奇的な家族(肉)」。

調理して遺体処理しちゃえー的な
「八仙飯店之人肉饅頭」。

まるでフランス料理の様な「ハンニバル」でのレクター博士クッキングも有名だ。
因みに、緊急避難として致し方なく…、の「生きてこそ」等はカニバリズムの定義には入らない。そりゃそうだ。

大半のカニバ作品は「わー食べられるうー!嫌だあー!」的な表面だけの中身ナッシングが多い。
だが、今作は内面から溢れ出す“抗えない本能"を主題に、性と生、心と身体が同時に解放されていく様をリアルかつ多面的に描いている。

そして、単に描写がグロいだけの作品と決定的に違うのは、その「生々しさ」だ。

特に如実に現れているのが、副題にもなっている「少女のめざめ」の場面。
極まった演技と選曲、そして演出の相乗効果により、「これしかない!」と思わせる描写を実現させている。このシーンだけでも観る価値が十二分にある。

本能の赴くまま“欲する場面“の中には、美しさと妖艶さ、危うさと気持ち悪さ、愛憎と葛藤、それらが滲み出る様に表現出来ている。これは「ぼくのエリ」を観た時に覚えた感覚と通ずるものがある。

うん、この監督さん変態だね!(ベタ褒め)

今作の気持ち悪さの“質“は、普段グロ映画余裕!って人もダメな可能性があり、逆にグロ無理!な人が平気な可能性もある。

我こそはと思うチャレンジャーは、肉類を食べながら観るべし。ユッケ!ユッケ!

これは昔の話。
私を含めた類稀なるアホ共は「ジャンクシリーズ」を観ながら「どこまで飯が食えるか耐久視聴会」を何度か友人宅で開催した。まるでお通夜のような雰囲気の中、1人、また1人と脱落し、最後のデザートまで完食したのは私だけだった。

忘れられない

脳みそとプリンがバッティングした時の悲劇と隙間から覗いていた友人のお母さんの目を。