凛太朗

RAW〜少女のめざめ〜の凛太朗のレビュー・感想・評価

RAW〜少女のめざめ〜(2016年製作の映画)
4.1
フランスの女性監督ジュリア・デュクルノー(同い年だよ!すげー!)によるこの映画、カニバリズムを描いているため、失神者が続出したらしいですが、私は違う意味でここ数日失神しそうだったよ。
歯痛で。

なんか歯が痛いなぁ。歯医者行こ。って感じで木曜日歯医者に行って治療してもらってからというもの、治療以前より痛い!
冷たいもの含んでも、コーヒー飲んでも痛い!痛くてもはやどこが痛いのかわからず、部屋にあった椅子ぶん投げそうになるくらいには発狂寸前で土曜日歯医者に電話したら、予約外では見られないよと。
あ、もう無理です。気絶します。

歯医者側の都合がわからないわけじゃないんですけど、これだけ歯医者が乱立しまくってても緊急で診てもらえるところの少なさは、ちょっとおかしいんじゃないかと思うよ。結局悶えながら我慢したけど、オレが歯医者なら、夜間も診るようにしたり、患者さんにちょっと我慢してもらって診察時間外にでも診るね。少なくとも門前払いはしないね。
どこもかしこも似たようなところばかりで、本当にそれでえぇのんか?

ってそんな話はどうでもいいですね。

この映画、なんでしょうね。
RAW 少女の目覚め。

獣医を目指す16歳のジュスティーヌが、両親と姉のアレックスも通う獣医学校に入学。
親元を離れ寮生活で不安な最中、通過儀礼として上級生にうさぎの肝臓を食べることを強要される。
ベジタリアンとして育ったジュスティーヌは、これを境にカニバリズムに目覚めていく。

ベジタリアンとかカニバリズムっていうのは、簡単に言えば抑圧と解放のメタファーですね。
親に抑圧され肉を禁じられ、自分は肉を食べてはいけないとそう思い込んでた少女が、学校の通過儀礼により大人への階段を登り始める。
姉ちゃんの指をまるでチキンの如く貪り恍惚の表情。
エンガチョ!って感じですけども、一緒に病院に駆けつけた両親共々、何やら様子というか対応がおかしい。

やっぱりお前もかと。

これは、ジュスティーヌの物語であり、姉のアレックス、そしてやっぱりお前もかと。

基本はやはり抑圧と解放、それに伴う成長や愛を描いている映画だと思うのですが、個人的にはずっと抑圧されているように感じるし、ジュスティーヌの動物的衝動だけではなく、学校全体、延いては社会全体が抑圧的であると同時に動物的でもあると感じました。

そもそも獣医学校に通う先輩後輩問わず輩がども、何しに学校行ってんのや?先生もですけど、生徒、後輩を甚振って自分が上に立つ人間と錯覚するためにそこにおるのか?と。
その言いなりになる後輩共々も同じこと。思考停止の動物ですやん。とても考えて行動のできる人間とは思えません。

通過儀礼だから。
はぁ?バカかとアホかと。
そう思うわけですが、そういう家庭なり学校なり社会なりの抑圧の反動として、歯止めの効かない衝動が生まれ、負の連鎖がおこるのだと言ってるようにも、個人的には感じました。
というかそうあってほしいですね。カニバリズムの異常性に隠れて、映画内の他のことが当たり前になってたら、それはそれでヤベーと思います。

異色のホラー映画ですけど、カメラワーク、色使い、音楽等々が芸術として昇華されていて非常にいいですね。
凛太朗

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