数年前DVDを見ながらアシュタンガ・ヨガのハーフプライマリーをしていたので興味深く見ることができた。
薄々は知っていたが,ヨガは体系的な学問といった方が正しく,身体の動かし方に終始するエクササイズではない。
一つ一つのアーサナを経て,心と体の同一化を図るのだが,アーサナはその目的に達するステップの一つとも言えるので,目的意識を持って取り組む必要がある。もっとも正しく捉えるならば,アーサナには曼荼羅的にその目的が内包されているため最終的な目的を常に意識する必要はないかもしれない。
しかし,アーサナで指定される「視点」や「形」は,心と体の同一化という目的を果たすための機能であるという認識を持って,ヨガに取り組まねばならぬと思った。その視点が欠けると,ヨガはヨガではなくなってしまう。まあ,簡単に言うと一つ一つ意味があるのでちゃんと守ろうねってだけのことなんだけど。
パタビジョイス(アシュタンガ・ヨガ)はシークエンスをとりあえず流れ通りに行い,何度も繰り返す過程で一つ一つのアーサナのクオリティをあげていきなさいという。一方,アイアンガー(アイアンガー・ヨガ)は非常にロジカルに静的に一つ一つのアーサナのクオリティを高めていく。
これは流派の話で,どちらが良質かということではないのだが,アイアンガーがほとんど初心者の話者に三点倒立を教え,まがいなりにもできてしまったところを見ると,自分でやる時も「やってりゃできる」ではなく,できるように考えてやるのは大切だなと思った。
映画自体は眠たくなってしまうところもある。
音楽はとても良い。
最近風を感じられる家屋にとても弱い。緑と風,ひんやりする素材の床。
あと,話を聞いているとわかるのだが,アイアンガーの原動力になっているのは僻みのような感情である。
ビートルズがマハリシ・ヨギに教えを請い,最終的にがっかりして帰ってきたという話があるが,ヨガであれ,仏教であれ,瞑想であれ,鍛錬した末に道徳的な人になるわけではない。ビートルズがそこの認識のずれにがっかりしたのかは定かではないが,意外と粗野なアイアンガーには,ヨガの達人だから道徳的ではないというのが見て取れて面白い。