ICHI

ヒトラーの贋札のICHIのレビュー・感想・評価

ヒトラーの贋札(2007年製作の映画)
5.0
ナチスドイツとユダヤ人の当時の凄惨さを痛感した。

胸が過呼吸になり、しばらく止まないような重苦しさだった。

映画には、こういう作品も必要だと改めて痛感。

初めて観たオーストリアドラマ、『警察犬REX』から役者 カール・マルコヴィックスに惹かれて、本作品に辿り着き観賞。

決してエンターテイメント映画として楽しめるものではなく、ドキュメンタリーに過ぎる作品だったが、『スノーデン』や『サイレンス』などの如く、史実を元にしたリアルな描写に感服する。

心臓が痛くなる程のショッキングな内容だが、これが実際に起きていたのだと言うことが本当に恐ろしい。

そういう生々しいインパクト、ダメージを与えられることが、凄いと思った。

ユダヤ人としての怒りのシーン、音がこもって聴こえる描写や、どんなに仲間割れをしても仲間を売らないユダヤ人の結束。助けようとした仲間が無残に殺されてゆく様子、今日生きる為に敵の戦力に加担する悔しさ。

そういう思いが、カール・マルコヴィックス演じるサリーを通して、息苦しい程伝わってくる。

この作品を完成させた監督、役者、製作陣の技術と忍耐力、勇気、エネルギーに脱帽する。

今日生きて、芸能ニュースを傍目に「今日もまたやってるなぁ」と、半分死んだような感情で意地悪く生きている自分の人生が、どんなにありがたく恵まれていて、大切にするべきかを省みさせられる作品。

これを機に、ハリウッド映画や英語圏のドラマ以外にも、ドイツやウィーンの作品にも触れていこうと思う。
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