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シュガー・ラッシュ:オンラインのRenのレビュー・感想・評価

2.0
自分は映画シリーズにおける初代至上主義者では全くないけど、今作は普通に続編としてわりと問題ありでは。劇場鑑賞時にもちょっとモヤモヤしたけど、再見して詳しく書く。

物語を推進させるために前作を設定から変えてしまっている以上、続編として見かけ上 破綻している。舞台をオフラインだったアーケードゲームからオンラインのインターネットに変更し、そこに付随する問題提起(匿名性と暴力性の話、ウイルス感染などの危険因子の話)を盛り込んだのはゲームを題材にした映画の続編として真っ当で広がりがあったけど、それ以外が結構キツい。

前提として、どんどん主題が不明瞭になっていく脚本の泥沼に陥ってしまっている。AをするためにBをしてそのためにCをする、というように話が遠ざかっていくので、油断すると彼らは今何でこんなことしているんだ?と冷める。
仮に道中の小ネタを楽しむものなのだとしても限界はある。グルートやストームトルーパー(一瞬だけどこの光沢の表現は凄い)のカメオは楽しい!が、自社の過去のプリンセスをセルフいじりして刹那的なギャグに落とし込むことに何の意味があるのだと思ったし、ディズニーの浅さみたいなものを垣間見た気がして悲しくなった。ファンサービスポルノの最たるものだと思う。

おそらくディズニー作品史上最も物議を醸した続編映画は『トイ・ストーリー4』だけど、今作に比べればトイ4はよほど筋が通っているし続編としてやる意味があった。あれは過去3作を踏まえた上でウッディの中に起こった心情変化と選択に真っ向から挑んだ作品だったし、何よりルールは一貫して守っている。『トイ・ストーリー』シリーズでやるべき映画であり自分も好きな作品。
翻って今作は、前作を踏まえられておらず前作の始まりと同じような状況からスタートしてしまうのがチグハグすぎる。あなたたち平気で自分のゲームを24時間以上空けてますけど。不可抗力ではなくラルフとヴァネロペの自主的な選択でそうなっているのが恐ろしい。しかもラルフの後半のある破壊行動は、前作でヴィランが企んだことそのままだ。

ラルフがキモくなっていることに関しては、(そのキモさ自体を好きにはなれなかったけど)キモくなってしまった理由は分かる気がした。前作で、自分の立場を誰か(ヴァネロペ)との繋がりによって肯定したラルフだ。自分の役割・存在意義がイコールヴァネロペになった話だったので、それが不健康な共依存になったことは理解はできる(できない)。
しかも、形式上共にいることよりも夢を応援できることが友情ではないのかという物語のテーマはとても分かるし真っ当だ。成長するのはラルフのほうであり、共依存に支えられたヒーローが自立したヒーローに一歩進む話となっているのはとても良かった。
でも、最終的に友情を口実にゲームを超えた別離が美談化されるのなら、じゃあ前作で禁忌とされていたターボって何だったの?

要するに「テーマ性の連続性はあるものの、世界観とルール設定の連続性が全く無いので、コレジャナイ感を抱いた人が多かった」のだと思う。皆んなが満足する続編を作るのって難しい。

その他、
○ ミッドクレジットが不要だし自分の苦手な可哀想さでイヤだった。うさちゃんが不憫で泣きそうになる。
○ 今作のポストクレジットで『Never Gonna Give You Up』のMVが米国ではネットミーム化していることを知った。
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