Yui

ニコラス・ウィントンと669人の子どもたちのYuiのレビュー・感想・評価

4.1
世界で一番大きな家族の家長。
今や彼の子供達の家族は総勢5700人。
でもこれは、大家族の話ではありません。

ナチス・ドイツの脅威が迫るチェコスロヴァキアで、669人のユダヤ人の子どもたちの命を救った一人のイギリス人、ニコラス・ウィンストンのドキュメンタリー。

ナチス・ドイツがどれほど恐ろしく残酷で、どれだけの人が殺されたかは知っていたし、ユダヤ人を救った数人の映画は観た事があったけど、彼の話は初めて知った。

しかも驚くのは自分の行った善行を50年も黙っていた事。奥さんが当時のスクラップブックを発見しなかったら、ニコラスはその後も黙っていたんだろうなと思うと、その謙虚が衝撃的だった。こんなに素晴らしい偉業を!と他人は思うけど、本人にとったら良心で行動しただけで、そんな風には思っていなかったんだろうな。

本当に凄いことを成し遂げた方。
そして、それが50年の時を経て表沙汰になった後のサプライズの再会のシーンや、思いやりの心、慈善の心が脈々と受け継がれている事実に涙が止まらなかった。してもらった善意を他の人に返して行く。リアル『ペイ・フォワード』だった。大人でも子供でも出来るんですよね、思いやりの心があれば。

彼の行いには素晴らしいの一言ですが、もう一方で、子供達の命を決死の覚悟で泣きながら送り出した親や家族がいたんですよね。救われた子供達の中で、後に家族に会えた人はいたのかな。考えるととても苦しくて辛い。

戦争は本当に奪うばかりで何も産まないけれど、そんな中、危険を顧みず子供達の命を救った彼は栄誉に相応しい素晴らしい方でした。

大きな感動と共に、小さくても良いから自分の出来る善行をと思わされるドキュメンタリーだったな。観て良かった。

しかもこのストーリーが『パディントン』のモデルらしいです。これまた知らなかった!次にパディントン観たらまた泣いちゃうかも😭


2021-425
Yui

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