半兵衛

結婚式のメンバーの半兵衛のレビュー・感想・評価

結婚式のメンバー(1952年製作の映画)
3.6
子供から大人への第一歩を踏み出そうとする主人公の少女・フランキーの誇大妄想気味な言動はいささか辟易するが、同時にフランキーが放つ生々しい感情の慟哭からかつて自分が同じ世代たったときに抱えていた悩みや誇大な将来への願望が思い出されてきて冷笑、軽蔑、同情、痛切など複雑な感情に襲われてくる。恐らくフランキーを痛い奴と思えても、その底にある感情を一笑に付す人間は皆無のはず。そんな彼女が成長するラストには、親類の気分になって安堵する。まあ成長というよりは子供の気まぐれという気がしないでもないが。そして彼らの親しくしている二人にもたらされる結末が少女の物語を哀しく彩る。

ただワンシーンが同じ場所で展開されたり、画面の空間が平面だったり、全編の大半が会話劇だったり、役者の熱演ぶりなどどこか演劇的な演出を施しているのが気になる。特に自分の感情を台詞で説明しているところが多くて、映画なんだから画で説明してくれよと思ってしまう。田中絹代とブライアン・デ・パルマという映画の空間処理が上手い監督を見たばっかりなだけに余計そう感じる。

主人公の知り合いが奏でるトランペットや全編に流れるジャズの演奏が、少女のひと夏のドラマを静かに盛り上げる。

黒人のメイドさんのキャラがいい味を出していて、役者の好演もあって少女のドラマに大人の世界のエッセンスをもたらし映画に深みを加えている。複数のニュアンスを出す彼女の演技が映画のラストを見事に締めくくる。あと主人公の背の高い12歳の女の子フランキーを完璧に演じるジュリー・ハリスの熱演も見所。
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