バリバリ働く若き営業マンのロックハートは心に変調をきたし、遠く離れた療養所に籠ってしまった社長を迎えに行く任を受ける。
道中運転手から入所する金持ちを何度も送っているが帰る者はほとんどいないという話、そして療養所のある場所はかつて城があり、その主人が妹との結婚を画策したため反感を持った村人たちに城を焼き払われたという話を聞かされる。
面会時間を僅かに過ぎていたがなんとか粘り社長との夜の面会を取り付ける。
一度ホテルへ戻ろうと街へ向かう途中、鹿を避け損ねた車が横転し怪我を負ったロックハートはなし崩し的に診療所へ一時入所することになってしまった…
一見老人たちが穏やかに過ごしているがどこかおかしい療養所を舞台に起こるサイコロジカルホラーで謎めいた展開と徐々に正気を失っていくような恐ろしさが絶妙で、B級めいた邦題に対して作品はかなり作り込まれていると感じた。
印象に残るシーンの多いカット割や時折見せる美しい情景、痛々しいハードな描写など視覚に訴えかけるシーンが盛りだくさんで2時間半近い長尺の映画だが最後まで目が離せなかった。スゴい。
視聴者を翻弄するような謎だらけの展開でモヤモヤさせられっぱなしだが後半ではあらかた謎は明かされるので最後まで観たのに煙に巻くようなラスト…ということにはならないため長いがそこは良心的な印象だ（笑）
とはいえ、トンデモ描写も多い上に隔絶されているので入所者は幸せそうだが隔離病棟的な側面もある舞台なのでパッと見のカルト映画感はどうしても隠せないのでやや敷居は高そうなのがもったいない…
美しいだけでないヌードシーンや嫌悪感を催すようなエグいシーンも多少あるためR15指定のようなので視聴の際は軽く心の準備を。
個人的には緊迫感とミステリアスな展開、そして主人公が思いがけずして都会から隔絶された奇妙な施設に居付くことになってしまうシチュエーションが大好きな『シャッター・アイランド』を想起してとても良かった。
キャストの演技も素晴らしく、やや抑え気味だがベンジャミン・ウォルフィッシュのスコアも良くて満足な作品だった。
オリジナリティがないとか先が読め過ぎとか言われて批評家の評価が芳しくないのが解せぬ。
