都部

ドラえもん のび太と銀河超特急の都部のレビュー・感想・評価

2.7
物語の口火を切る役目を果たす銀河超特急を主軸として、それぞれが一つの映画の題材と成り得る三つの魅力的な要素により構成された物語は、その要素のアンサンブルにおいて月並みな失敗している為に見掛け倒しの物語のように思えて仕方がないのは惜しさを感じる。

実際 設定は魅力的だ。車両空間が圧縮された銀河鉄道によって壮大な宇宙紀行の始まりを予見させる序盤の高揚感の掻き立て方は素晴らしく、夜の間だけどこでもドアで行き来して長旅をするという現実と地続きの科学的浪漫の差し込み方も作品ならではの良さがある。

しかしその要素を切り捨てる形で、アミューズメントパーク化された惑星でのごっこ遊びに切り替わるのは興醒めで、物語の大半を占めるのはこの惑星での一挙一動であるから序盤に期待せた要素の梯子外しとして悪質とすら言える。

タイトルを変えろ。

ともあれキッザニアさながらの夢の職業体験パートは、瞬間的な面白さをかろうじて発揮するため中弛みの阻止には成功している。しかしそのてんでバラバラな統一感のない展開は映画としての間を持たせる為の流れとしか思えず、後々に布石として拾われる要素も見られるがそれらの描写は大してスマートではない。

それより始まる寄生生物の侵略とその対抗も月並みなスペクタクルとして消費されるばかりで、子供目線からのその恐ろしさや脅威を描ききれていないのは尺の不足をどうしても感じてしまう。旧ドラ映画の欠点である終盤に物語を終わらせるべく駆け足になる構成もマイナスに働いていて、ダイジェスト版を見ているかのような慌ただしさは煩わしがった。
都部

都部