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聖なる鹿殺し キリング・オブ・ア・セイクリッド・ディアのatsushiのレビュー・感想・評価

3.7
ギリシャ悲劇『アウリスのイフィゲネイア』を下敷きに、監督ヨルゴス・ランティモス流の童話的世界観に満ち溢れています。

度々差し込まれる神の視点的俯瞰ショットは、劇中で起こっている"現実"から我々観客を少し冷めた距離感にまで引き離します。その距離感はまるで箱庭を覗いているように、或いは絵本を見ているように我々を安全地帯へと誘います。

ランティモス作品を童話足らしめているのは、決められたルール、世界観の中で進行していくところにあると思います。それは前作『ロブスター』も同様に。

静かに誰にも気づかれないようにズームするカメラ、意図的な不協和音。とにかく全てが気味悪さのために計算された怪作。

2024/02/01 1回目
【2024年41本目】
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