遠野

聖なる鹿殺し キリング・オブ・ア・セイクリッド・ディアの遠野のネタバレレビュー・内容・結末

4.3

このレビューはネタバレを含みます

観始めてすぐアメリカンアニマルズで良い演技だったバリーキオガンが出てきて、やったー!主役であれ!と思っていたら重要な役だったので嬉しかった。
等価交換のような義理堅さがなんかヤダなって思ってたら本当に等価交換を求めていてそういう清潔さは好き。だってやることやってるだけだから。

マーティンの面白いところは、悪魔が乗り移ったとか悪魔との契約で力を得たとか親の奇妙な能力を受け継いでいるとかそういうのが一つもなくて、ただ能力を持っているということ。理由を説明されない特別な能力って珍しいと思う。スパゲティの食べ方を受け継ぐのは自分しかいない、のところで、父親が能力者だったか?って思ったけどそんなふうでもなかった。

最初から最後まで登場人物が全員一切楽しそうじゃなくて、楽しいはずのシーンや感嘆の言葉でも語調が変化しないし笑わないから台本を読んでいるみたいで、つまり本心を隠した演技を全員がしているという演技なのかも?と思った。

音楽が「ここ怖いところですよ〜」って全部教えてくれててその通りに不穏なんだけど、不穏なときに不穏な音楽を流されるとバラエティの面白いシーンに笑い声が追加されてるみたいなわざとらしさがあって引いてしまう。不穏なことくらい不穏な音楽流してくれなくてもわかるし!て思う。

それにしても一貫して気味が悪くて、ずっと「次のシーンで何か嫌なことが起こるのでは」という予感があってすばらしい。

子供二人が伏せってからはダラダラしていて早くボブはステージ3になれ!(話が進まない!)と思ってしまった。ボブがステージ3になってから殺されたけど、どうせ数時間後には死ぬから殺したんだろなって思ってしまってそれはズルなのではって思った。そういうところも打算的な父親なのかもしれない。ぐるぐるバット的ショットもボブを殺すための言い訳のように見えた。

全然関係ないけどアメリカのお金持ちは郊外に大きな家を建てて車通勤するみたいな描写がよくあって今回もそんな感じだったけど、車通勤は嫌ではないのかしら?都心のマンションはお嫌?

不安なところは手持ちカメラで画面ごとぶれていてわざとらしいけど効果的でこういうのは好きです。

セックスのときいつも奥さんが変なポーズするの、参考にした古典文学の絵画でそういうポーズしてるのがあるのかな?と思ってちょっと検索したけど見つけられなかった。あれ何?

早口オタク死刑宣告したときにマーティンがスティーブンにプレゼントしたサバイバルナイフって使うシーンありましたか?分からなかった。ラストシーンの後にそのナイフでスティーブンが彼の家族に殺されたら最高だなーと思った。
遠野

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