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聖なる鹿殺し キリング・オブ・ア・セイクリッド・ディアのsobayuのレビュー・感想・評価

4.0
ずっと不穏というある種のハッタリをかまし続けるのも技がいるんだろうな。面白かった。ニコールキッドマンってこういうアイズワイドシャットみたいな役ちょう上手い。バリーコーガンの気持ち悪さ、不快さ、不潔な感じ(不潔にしている描写はないのに)も芝居と演出で醸し出されるわけですよね、すごいなあ。

スティーブンが父親の代わりをやり続けていればマーティン的には「フェア」だったけど、きっと要求はエスカレートして本当の父親になれコースの地獄が待っていた気がする。例のギリシャ神話は愛娘を差し出したから神の怒りが静まったんですよね、この映画の神的な人はどちらかと言うと罰したい奴を生贄に選ばせた感じがするな。あの人だけ跪かなかったもんね。そして男たちは表面上は愛妻家、母と仲良し等、女性と良好な関係を築いている風だけれど、何故か主人と奴隷のよう。実はそれこそがこの映画の不快感の原因な気がする。褒めてる。

子供や妻が手を替え品を替え支配者に媚びと言う名の命乞いをするのがイヤ~な感じの見どころだったじゃないですか。だからポテトが象徴するのもそれかも知れない。

マーティンは別に添え物のポテトが好物だから最後に食べようとしたのではなくスティーブンに媚びただけ。あの時点では父親代わりで手を打とうとしてたから。ラストのポテトも、だからあの人物は食事を見てる支配者に媚びてるわけですよ。中盤スティーブンがマッシュポテトを食べたいと言ってキレられるのは主従関係の破たんを表してる。ポテトを巡ってだけでもこれくらい妄想できるんだから楽しい映画を見ました。おもしろかった!
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