Yuri

聖なる鹿殺し キリング・オブ・ア・セイクリッド・ディアのYuriのネタバレレビュー・内容・結末

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このレビューはネタバレを含みます

命とは?絆とは?責任とは?をまたシニカルに描き切ったヨルゴスさんらしい作品。後半、張り詰めた場面なのに吹き出しそうになってしまったシーンが幾つかありました(^^;) 黒いドレス、全身麻酔・・・(苦笑)ヨルゴスさんは笑わせるつもりはないのかなー?人間は滑稽で狡猾な生き物だよってことなんでしょうけど。スティーブンは最後まで自分の罪に向き合おうとはしないし、罪を被り皆を助けることさえできない。妻アナもあからさまな保身に走って子どもをスペア扱い。子どもたちは生き残りたいって気持ちはしょうがないような気がします。わからなかったのは、長女が自ら生贄を買って出たのは、マーティンに何か言われたから?ベースとなったギリシャ神話「アリウスのイピゲネイア」に合せると長女は生き残る方法があったのかなと想像しました。そして、その場合、誰を選んでも結局アウトな結果が待っているみたいな。マーティンはあれで救われたのだろうか?そもそも、マーティンの意思だったのか?スティーブンと麻酔科医の言葉のどちらが真実?謎が謎を呼ぶ展開のまま、静かにあたふたする家族をぞっとしながら見続けるみたいなお話です。マーティンが現れなくても、綻びはすでにあったというところが、マーティンがいなくなってももう手遅れなわけで、ささやいてくる悪魔は身近にいくらでもいるぞと言われているようで静かにひたひたと恐怖を感じる作品です。
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